冬の日の犬のお話
真樹子はそっと背中に触れた。
じんわりとした温もりが、静かに波打っていた。


苦しいですか?

…苦しいですよね?


獣医は答えず、診察室を出て待合室のテレビを付けた。

音量は聞こえるか聞こえないかくらいに絞ってある。


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