冬の日の犬のお話
ドアが開き、奥さんが顔をのぞかせた。



コーヒーを淹れたんだけど…


奥さんは診察台に目を留め、黙って部屋に戻り、コップを持って再び現れた。
鮮やかなオレンジ色のガーベラが一輪、老犬に捧げられた。


ねぇ?
コーヒーよりお酒にしない?
泊まってけばいいわよ。


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