冬の日の犬のお話
年老いた竹蔵の母親が訪ねてきた時は、後ろめたさに身の震える思いじゃったが、混乱の中ではぐれてしもうたが、おそらく生きてはいまいと言い繕うた。
竹蔵の母親は気丈に、覚悟はできておったと言いつつもの、せがれの身を案ずるあまり、床に伏せっておる 許嫁のしづになんと言い聞かせればよかろうかと嘆いた。

竹蔵を知るおまえの話なら、信ずるかも知れぬ、後生だからしづに伝えておくれ…


弥助はの、断る口実も見つからず、しづの家に出向いたのじゃ。

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