HAPPYBIRTHDAY-主役のいない誕生日-
「あとあんたに足りないのはね、前を向いて生きていく力、未来を自分の手で明るいほうへ導こうとする力……そして」


それは自分でもよくわかっている。

「現実を受け入れる強さ」

僕は静かにつぶやいた。

それのおばちゃんはニコッと笑い、

「大丈夫!あんたが笑顔で毎日を過ごしてりゃあの子も次の人生で幸せになれるわ……」

そう言って、僕の髪の毛をクシャッといじる。


「あぁ、あと周りに頼るっていうのも大事なんだからね。あくまでもあったしたちは同情で声をかけていた訳じゃないんだから。心配、していたんだからね」


「……はい、ごめんなさい」


その時、僕は初めて死ねなかった、じゃなくて生きていられた、だったのかもしれない、と思った。




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