恋風船
「ご両親とか…は?」
「俺、ガキの頃から親と世間話したことない」
…いつだって放置だ。
「え?」
「とにかく家にきたら分かる」
ドアを開けほとんど物がない俺の家に志穂をいれる。
下心の為じゃなく志穂に家庭環境を知って欲しかっただけ。
独り占めにしたかったのは本当だけど。
「誰もいないの?」
「いつもだよ。俺ん家は寝るためだけにあるもんだから」
まともに家族で団欒なんかしたことない。
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