雨音色
気まぐれに降り続く雨。


暗闇に続く、永い、永い、道のり。


全速力で、その上を駆ける。


分からない。


どこへ向かっているのかも。


でも、それで良い。


この道が知っている。


進むべき場所を。


何も見えない。


何も感じない。


ただ、聞こえてくる。


雨が、道を、自分を、


叩き付ける音が。


何を躊躇っていたのだろう。


何に怯えていたのだろう。


自明だったはず。


本当の望みが何であったかを。


偽りはもう、要らない。
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