雨音色
「・・・ふぅ」


振り続けていた雨は完全に止んでいた。


夜空を見上げて見えたのは、無数に輝く星と、


そしてかすかに煌いた昔の記憶。


「まったく、親子揃って同じことを・・・」


皮肉ってはみるものの、


でも、結局は。


「・・・同じような人を・・・」


昔、同じ顔をした自分の友は、


誰からも羨まれた頭脳を持ち、誰からも期待された将来を背負っていたのに、


愛する人と結ばれ、留学の申し出をすべて断り、自らの出世を断った。


愚かだと思った。


憎らしいとすらも思った。


羨ましい才能を有しているのに、どうしてそれを生かさない。


許せなかった。


裏切られた気がした。


それでも、自分は十数年後、大学の教室で彼の息子を見つけた時。


助けなければならない、なぜかそう思えた。


そして、また。


「・・・同じような境遇をわざわざ選ぶとは・・・」






もう一度夜空を見上げる。


「藤木・・・。お前は、俺に何を伝えたいのか?」


姿の見えない友に代わって、満天の星空に、彼は言葉を投げざるを得なかった。


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