雨音色
彼が声をかける。


はっとしたように、その人物が上を向いた。


その瞬間、彼は息を呑んだと同時に、大声を上げそうになった。


「さ、さ、さ、幸花さん!?」


「ごきげんよう、壮介さん」


そこには紛れもなく、袴姿の幸花が笑いながら座っていた。


机の上には見覚えのある分厚い本が1冊開かれている。
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