雨音色
想い
「誰だったの?」


縁側に戻ると、茶椀が2つ用意されていた。


彼の湯飲みには、湯気が立っていた。


「ちょっとした知り合いだよ。

大した用事ではなかったけどね」


彼はそれを持ち上げ、温かいそれを飲んだ。


その様子を、横に座る母がじっと見つめる。


そして、彼女は静かに語りだした。
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