ひまわり畑と彼の記憶(短)











「タマ!」


声がした方向に振り返ると、大人になった懐かしい顔が手を振った。


「久しぶり~!ナナ、あんたちょっと太ったんじゃない?」

「タマ、それ禁句」

「っわーん、タマも亜衣ちゃんも大っ嫌いだぁ!」

「あーぁ、ばかタマ」


懐かしい廊下に騒がしい私達の笑い声が反響する。

冷たいコンクリートで囲まれたそこは、1月の寒さからほんの少しだけ守ってくれていた。





彼がいなくなって10年が経って、私達は今日、成人した。





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