約束 ~生きていく君へ 余命半年と告げられて

静かな口調で、亮君が話し
はじめる。

 「真幸、どこから話せばいい
んだろうか。温人が体調崩して
通院したことがあったよな。
あの時、すでに温人は脳腫瘍
で余命半年って告げられて
いたんだよ。」


 「うそ!!そんなのうそだ
よね。」


 「本当なんだ。 あの頃温人
と真幸は結婚に向かって準備
の真っ最中だったよね。
そんな幸せそうな真幸に話す
事なんてできないってあいつ
真剣に悩んでた。
そしてあいつが出した結論が
真実を隠したままお前の前から
消える事。
温人がいなくなる前、帰りが
遅い日々が続いただろう?」


 「うん。」

 「あれは、通院してたんだよ。
本当は入院を勧められていた。
でもギリギリまで真幸のそばに
いたかった温人は通院と投薬で
その場を切りぬけていたんだよ。
でも、限界だったみたいだね。
真幸が温人の体調の異変に気付
き始めたのだから。
温人が消えたその朝も心配そう
に温人を見送ったんだろう。」


 「それは・・・。」

そう温人の顔色があまりに
悪かったから。


 


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