一匹狼と無邪気なワンコ

 ユキとアキはおろか、愛する人まで失ったのは俺のせいなのに。


 親父は俺の心配なんかをしてくれた。


 そんな親父の言うことを、俺は聞いた。
 

 ただ、捻くれた形でしか聞けなかったけど。


 自分を隠し、もう誰も傷つけないように、内面は距離を置くことにしたんだ。


 そして俺は記憶を封じ込めた。


――都合の悪いことはすべて忘れたんだ。

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