愛なんて無かった
闇に浮かぶデジタル時計は蛍光色で少しぼやけていた。
誰の気配もしないこの部屋で目覚めてしまった自分が恨めしい。
蛍光色が示す時間はまだ夜明けには程遠い、午前2時。
微かに香る煙草の残り香は口づけた時と同じ匂いで、さっきまで火照っていた身体を懐かしく思う。
一人では広すぎるこのベッド。
寂しさを紛らわすつもりが更に寂しさを増してもう一度、あたしは夢の中に逃げようと試みた。
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