幸せという病気
第6章【発病】
第六章 発病




それから一週間後―――。

「あれ?遥さん今日は綺麗ですね」

「うるさい。お兄ちゃんこそ気合い入ってるじゃない」

「どこが」

遥は今日、竜司との約束、そして武はすみれと約束が入っていた。

「じゃあ行ってくるわ」

武は自転車に乗り、すみれとの待ち合わせの駅に向かった。

すみれよりも先に着いた武は、駅のトイレの鏡で髪型を整える。

約束の十分後、すみれがやってきた。


「ごめんなさい遅くなって・・・待った?」

「だいぶ」

「そんなに?」

「嘘。そんなに待ってないよ?」

「よかった」

「それでも遅刻は遅刻だよ~?」

「はい・・・」


そう言い、二人は映画館へ入って行く。

館内で、すみれはコーラとポップコーンを買い、武はアイスコーヒーを買った。

少し経つと、見たかった映画が始まり、すみれは武にポップコーンを勧める。

「いや、いいや・・・」

「なんで?いらないの?」

「嫌いなんだよねポップコーン・・・匂いが・・・」

「変わってるね」

王道が食べられない武を見て、すみれは笑顔で交わす。

そして上映が終わり、泣いている武にすみれがポップコーンを嗅がせて面白がると、武は本気で吐きそうになった・・・。

そんな楽しいムードの中、しばらくして二人は夜景を見に行くことにした。

その場所は絶景のデートスポットで、周りにはたくさんのカップルが寄り添いあっている。

武とすみれは少し恥ずかしそうに、あまり人がいない場所を探し、腰を下ろした。

あまりに綺麗な街の輝きを見てすみれはとても喜ぶ。


「綺麗~!こんなとこあったんだね~!」

「俺も知らなかったけど・・・あったみたいだね」
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