幸せという病気
「遥、おはよぉ」

遥が毎日登校している、川沿いに桜の木が並ぶ道。

四月中旬から咲いていた桜はすでに散り、緑の芝が日の光でキラキラと輝いている。

そして、登校する遥に同じ高校に通う『長谷川 優』が声をかけてきた。

遥が優に明るく返事をすると、遥の肩を二回叩き、優がなんだか嬉しそうに話す。


「ねぇ遥ぁ。また紹介してって言われたんだけどっ」

「何を?」

「あんただって」

「・・・作る気ないってば」

「もういいかげん誰でもいいから彼氏作ってよ〜。私にばっかり紹介してよぉって言ってくるんだってぇ」


優は遥と学校一仲が良い為に、同じ高校の男子から遥の紹介を頼まれ続けていた。


「放っておけばいいよっ。おもしろがってるだけじゃん?」


優の言葉に、遥は軽く嫌そうに答える。


「遥モテるんだから早く彼氏作っちゃいなよ」

「いずれね」

「家事とかあって大変なのわかるけどさぁ〜彼氏くらい作ったって生活に支障なくない?」


二人は歩きながら、またいつもの様に優が遥を説得し始めた。


「そういうんじゃなくて、その人に悪いしさっ」


遥もまた、それに対していつものようにごまかす。

すると優が突然、


「そういえばっ!実花先輩子供生まれたんだって〜!」

「マジ!?子供かぁ・・・」


思い出したかのように、優が身の周りの近況を話しだす。

子供が産まれたというその話に、一瞬優しい顔をした遥を、優は見逃さなかった。


「ほらっやっぱ彼氏作りな?遥子供好きじゃん」

「ハハハッ。気が早いよ?・・・まぁ、いずれねっ」


そして遥は、優の面倒見の良さに嬉しい気持ちを持ちながら、作る気は無いとごまかすように笑った。
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