龍の女神となるべき姫【上】
「ありがとな」
悠基がそう言った直後、月明かりがパアッと照らされて、辺りが明るくなった。
だから今までよく見えなかったそいつの姿が、はっきりと見えるようになった。
礼を言われてにっこり微笑んでいたそいつは、今までに見た誰よりも美しかった。
しばらく見惚れていると。
「……天姫か?」
という、悠基の声にはっとした。
銀色の長い髪。
空色の瞳。
誰もが見惚れる美少女。
……間違いなく天姫だ。