あたし、脱ぎます!《完》



「……え、えっっと。

森下くるみちゃんが
写っているなぁって、

見ていたの」



「へぇ。

この人、有名なの?」



……


………


…………え?


今、


何て?



時が止まる感覚って……


こういう時に、

使うのかな?



あたしは耳を疑った。



「……ゆ、有名っていうか……。


淳平くん?

森下くるみちゃんのこと……

好きだよね?」



呼吸を整え、

言葉を選びながら尋ねた。



「好きっていうか、
今、知ったよ。

俺、アイドルはよく知らないんだ」



「……え?

あ、あぁ。

そうなの?

あは、あははは……」



「こういうアイドルって
よく分からないじゃん!

裏では
性格悪いかもしれないし」



「……え?

あ、あぁ。
まぁ、そうかもね……。

あは、アハハハ……」



あたしは雑誌を閉じ、
ラックに戻した。


申し訳ない気持ちからか、

森下くるみの
満面の笑みで写る表紙を

目立つように置いた。



コンビニを出てからも、

苦笑いは
止まらなかった。


だって、
淳平くんは
グラビアイドルが好きではなかったのだ。


どちらかというと……

嫌いなほうってこと?


じゃ……
あたしの決意って

一体なんだったの?



もう言い出せないよっっっ!!!!!

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