あたし、脱ぎます!《完》



「あら?
萌香と雄ちゃん、お帰り。

今日は一緒だったの?」



花壇に
水やりをしているお母さんが

声をかけてきた。



「ただいま」



「こんにちは。
フラダンス頑張っていますか?」



「頑張っているわよ。

こんな感じに~。

今度、雄ちゃんも発表会観に来て~」



腕をゆらゆらと動かしながら
花壇で踊るお母さんに、

通りすがりのオジサンが
クスクスと笑っていた。



「ちょ、ちょっと!

恥ずかしいから
そんなところで踊らないで!

丸見えだから!!」



「あら?そう?

……そうだ!
二人とも家に入って。

いただきものの、ケーキがあるから」



フラダンスの続きのような
手招きをする
お母さんに、

雄介が
「俺、ケーキ大好きっす」と
声を上げる。



「雄ちゃんは
昔から甘いもの好きよね。

早く入りなさい」



お母さんは
昔から雄介がお気に入り。


うちは
男の子がいないから、

雄介が可愛いんだろうな。

< 168 / 383 >

この作品をシェア

pagetop