あたし、脱ぎます!《完》


「はい。もしもし」



「よお。元気だったか?」



懐かしく聞き慣れた声。


でも
この声を聞くと

怒りも込み上げた。



……こいつは
今まで
何をやっていたんだ?



電話の主は理だった。


高校時代と変わらず、

テンションの高い理に、

少しだけ
眉間にシワが寄った。




「お前、
今までどうしてたんだ?

電話しても出ないし。

メールしても返信がないし」



「ごめん。
ずっと忙しくて。

お前にちゃんと話そうとは思ってたんだ」



理とは、
萌香と家に行った以来だった。


その後、
電話しても出ないし、
メールしても無視される。



ただ、
バイト先のコンビニで売っていた
ホストの情報誌を見たとき、

『プレッシャス』という店で

働いていることを知った。


歌舞伎町にある
60名のホストが在籍する大きな店だと書いてあった。

その中で
理はNO.5のホストだと掲載されていた。



“おめでとう”なんて
メールする気にもなれず、

そのまま雑誌を閉じた。



理も変わり、

萌香も変わって行く。


俺だけ
取り残されて行く気がした。







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