1コ下のキミ


兄の存在が大きすぎるために、何も起こらない。

何も起こしてもらえない。


それは何よりも辛いことじゃないのか?

喜怒哀楽のどの要素も表現できない。

その一つだけでも、恐れる奴も出るだろう。


木岐は誰より、相手を優先しているから……。


「あ、話さないからってしゃべれなくなるわけじゃないよ?家ではお兄ちゃんともよく話すし、お兄ちゃんそんなに怖くない……はずなんだけどなぁ……」


自分より相手を優先する。

それを『兄のせい』とせずに、『兄をわかってもらいたい』と思うとこも。


「……木岐さんて、どんな人?」


実際、俺自身も木岐さんを恐れてはいるけど、本人に会ったことはない。

もちろん話したことすらないし、性格の一面すら知らない。

顔すら知らない。


所詮、俺も脳内で木岐さんの雰囲気を作っているだけだ。
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