last~舞い散る雪の羽根~
「この場所は、素晴らしいと思いませんか・・・」


風の音にまぎれて、声がした。


幼い少女のようだ。


「帰って、きたのですね・・・」


寂しげな声。


振り返ってみるが、周囲には人の姿はなかった。


「気のせいか・・・」


枯れ果てた大樹のそばに、木陰で休むように雪だるまがたたずんでいた。


誰が作ったのか。


春は近いというのに、この街にはこうした冬の光景がいくつかある。


「かわっていないんだね、ここは・・・」


おれは、ゆきだるまに向けてつぶやいた。


そう。


おれは、この街に帰ってきたんだ。



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