last~舞い散る雪の羽根~
「こんばんわ、せんぱいっ」


若葉がやってきた。


電話が切れてから約5秒の早業。


「まあ、適当に座っておけよ。すぐ作るから」


おれはそう言って鍋に火を点ける。


「せんぱい、なにか手伝うことありませんか?」


「いや、特にないが・・・んじゃ、冷蔵庫にお茶があるから、出しといてくれ」


「はいっ」


おれたちは作業に取りかかる。


おれと若葉は、お互いの都合が合う時にはこうして晩餐会を開く。


確か、若葉に料理を教えてくれと頼まれたのが最初だったと思う。


どちらが作るかは、言いだしっぺが作るというのが暗黙のルールになっている。


意外と、若葉から言ってくることも多い。


たぶん、一人の夕食が寂しいのだろう。


おれ自身も、1年のころは匠を誘ったり、外食をしたりして一人での夕食は避けてきた。


だからこそ、こうしておれも積極的に誘っている。


もちろん、おれ自身も一人で食べるより二人で食べるほうが楽しい。


だが、時々思う。


恋人でもない年頃の男と女が、同じ部屋で夕食を共にする。


傍から見れば、異常なことなのではないか、と。


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