秘密の花園




天気は快晴。それどころか猛暑日の予報まででていやがる。


本当ならこんな日はクーラーの効いた部屋に閉じこもって、一日中花園の中で戯れているというのに。


今の私はあくびをかみ殺しながら電車に乗っている。


答えは簡単。


今日はあのにっくきサタンのカットモデルをする日なのだ。


挑戦状まで叩きつけておいて今更だが、もう帰りたい…。


ほら!!座席の窓を透過した光が外出しちゃいけないよって警告してる!!


今日は全国共通で定休日とかになんないかな…。


…マジで。


そんな有り得ない状況を期待するほど私の心臓は早鐘のごとく激しく鼓動していたのだ。


あえて言うならド緊張?


せめてもの救いは、撮影場所がサタンの美容院であるということだ。


知らない場所で知らない人に囲まれるより多少はマシというものだ。


ああ…。水瀬さん…。


早くあなたに会いたいです…。


電車は行く。


緊張してたのなんて嘘だろってくらいあっさり夢の国に身を投げ出した私を乗せて。



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