秘密の花園




「支度できたー?」


一向に更衣室から出てこない私の様子を見にきたであろうあずなさんの動きが止まったのがわかった。


「あらまあ…」


床に尻を着いて必死こいて靴と格闘している姿は我ながらみっともなかったと思う。


だってこの靴履きづらいんだもん!!っていうか履けねー!!


リボンだらけの靴のどこから足をいれたらいいのか分からず四苦八苦。


見かねたあずなさんが言う。


「この椅子座って。あたしが結うから」


「すいません…」


促されるままに椅子に座るとあずなさんが靴のリボンを解いて足にあてがう。


そうか。リボンを解いて履けばよかったのか。綺麗に結んであったからこのまま履くもんだとばっかり…。


「ちょっと複雑だもんねー、この靴。もしかしてこういう靴って慣れてない?」

私はコクンと頷いた。恥ずかしい。


テンパりすぎてこんな当たり前のことに気づかなかったなんて。



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