秘密の花園




私は写真を撮り終えると、片付けをしていた水瀬さんのもとに駆け寄った。


「み…水瀬さん!!」


「なに?」


クリッとした大きな黒目が私を見つめる。


「あの…あの…」


さっきのって絶対、私の緊張をほぐすためにやってくれたんですよね?


もしそうならお礼が言いたいのに、上手く言葉に出来ないなんて情けない。


う~っと悶えていると、水瀬さんはたまりかねたように声を上げた。


「あはは!!面白かったでしょ?俺の変顔」


コクコクと壊れた人形のように頷く。


面白かったというよりは意外だったというか…。水瀬さんがああいうこと平気でしちゃうなんて想像もしなかった。


「それにしても変わったねえ!!写真撮ってるとき誰か分かんなくなったよ」


「そうですか…?」


ドキドキしながら次の言葉を待つ。本当の乙女になったような気分だ。


「うん。とっても可愛くなったよ」


可愛くなったなんてそんなぁ…。


甘い言葉に体がどろどろに溶けてしまいそうになる。


いっそこのまま死んでもいいかも。


水瀬さんがいればどこまでも…地獄の底までついていきます!!




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