秘密の花園

人生で最悪の日





たとえばこれが花園の中の出来事ならば。


電源ボタンを押すだけで全てリセットできるのに。


さっきまで浮かれた気分でいたことも。


…水瀬さんに出逢って、恋したことも。


それともこれは罰なの?


ずっと花園の奥にいて、キチンと現実に向き合ってこなかったから?


それからどれくらいの時間が経ったのだろうか。


突如コンコンと扉がノックされる。


「理香ちゃん、いるの?」


あずなさん…?


ぼんやりとする頭を軽く振って、壁に張り付くようにしてトイレの扉を開ける。


「あずなさん…」


「どうしたの?顔色悪いよ?具合悪いの?」


私は俯きながら首を横に振った。


…違う。


心配そうに私の顔を覗きこむあずなさんを見て、私は一層惨めな気持ちになった。


同じ女なのに…。


あずなさんは女の人らしい柔らかな雰囲気に、可愛らしい服装がすっごく似合ってて。


それに比べたら私はなんてみすぼらしいんだろう。


こんな格好したって水瀬さんに近づけるわけないのに。


…恥ずかしい。


思い上がりも甚だしい。


私なんかが水瀬さんに手が届くわけないじゃん。


夢ばっか見てバカみたい…。




< 133 / 289 >

この作品をシェア

pagetop