秘密の花園



椅子に座ってマミーの作ったオムライスを頬張りながらTSをやる。


ああ、至福の時間…。


「またゲーム…」


マミーはがっくりと肩を落としていた。


スプーンをくわえて、椅子の上に体育座りなんて行儀が悪い。


なんて小言は今更言われない。


何を言っても無駄だという事は家族には周知の事実だ。


でもさすがおかん。されどおかん。


20年も私に付き合ってるだけあって一枚も二枚も上手だった。


ふんふんと鼻歌交じりにご飯を食べていると、おかんはおもむろにテーブルに紙袋を置いた。


「これ返しておきなさいよ」


「なにこれ?」


「あんたがこの間着て帰ってきた洋服。ちゃんとお返ししなさい」


ガシャーンとスプーンが皿の上に落ちた。


マンガやドラマかよって自分で突っ込む前に、条件反射でダラダラと汗が噴き出てきた。


「い…いやだ!!」


ブルブルと手が震える。


折角できたかさぶたがとれて、記憶が走馬灯のように蘇ってくる。


サタンの意地悪い笑顔が脳裏に浮かんだ。


断固として拒否だ!!



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