秘密の花園



多分わかんないけど、雑誌に載るくらいだからそこそこいい値段するんじゃないの!?


ひええええええ…!!


なんだか急激に頭が痛くなってきた。


一体このお洋服でゲームが何本買えることやら…。


意地汚く頭の中でそろばんを弾いていると、あずなさんが思いもよらぬことをおっしゃった。


「だから、返すんだったら直接和馬くんに渡してね。ちょっと待ってて?今、和馬くんの家までの地図書くから!!」


「え!?いや、あの…。あずなさ~ん…」


そこまでしてくれなくてもいいんです…っという叫びは、残念ながら届かなかった。


数分待って再びあずなさんが現れるとメモ用紙を渡される。


「ハイ。どーぞ」


「どーも…」


いないならいないで別の方法だってあるわけだけど。


ティキンハーツの私がひとの親切をむげに断ることができるはずもなく。


なーんだ返さなくていいならもらっちゃえ★テヘッ☆みたいな思考になるはずもなく。


仕方なく渡された地図を眺める。


どうやら思ったよりこの近くに住んでるみたいだ。


家賃はおいくら万円なのか考えるのは放棄した。


絶対に高いに決まってる。


うえー。


露骨に顔をしかめた私を見て、あずなさんはふふふと笑みをもらした。



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