秘密の花園




「良かった~。思ったより元気そうで安心しちゃったー」


その言葉にハッとして、反射的に地に膝をつける。


「すっ…すいませんでしたーっ!!」


土下座して謝ってもまだ足りない。


よくよく考えてみれば、なんて失礼なことを!!


あんなに親切にしてくだすったのに御礼も申し上げずに立ち去るなんて!!


世が世なら切腹ものだ。


「こ、ここここ、この間は突然帰っちゃって…」



バカ!!理香のバカ!!このあほんだら!!


こうなったらすべからく謝罪の意を示すしかない。


かくなる上は腹をかっさばってお詫び申し上げる!!


顔真っ青で謝り倒すと、あずなさんはとんでもないと私の顔を上げさせた。


「いいのよ。面白いものも見れたし」


「面白いもの?」


「聞きたい?」


あずなさんはぷっと思わず吹き出した。


「佐田くんが理香ちゃんを追っかけようとして焦って階段から大コケしたのよ。ちょっとした見物だったのよ」


こういうとき無駄に手足が長いと大変よねと、あずなさんが私に同意を求める。


鬼の霍乱?


「これからしばらくこのネタでいじれそうね」


あのサタンをいじり倒そうというのか。


さすが姉御!!


「いってらっしゃーい!!」


ブンブンと階段の上から手を振るあずなさんって、本当にサタンを手玉にとれる唯一の人物なんだなって思う。


結局はあずなさんが最強ってこと?



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