秘密の花園



「いいからやるよ。着ないなら誰かにやればいいだろ」


気合で氷漬けから復活すると、サタンは呆れたようにそう言った。


それもそうか…。


「じゃあ、遠慮なく」


私は結局、返すはずだった服をリュックの中にしまった。


あーあ。一体何をしに魔窟に来たのやら…。


「家の場所は誰に聞いた?」


「あずなさん」


「やっぱりあいつか…」


予想通りとでも言いたげに、サタンがため息をついた。


そして、まじまじと私の顔を見てこう言った。






「…水瀬のこと、悪かったよ」






…びっくりして内臓が飛び出るかと思った。


内臓の代わりに飛び出たのは、皮肉とも、恥じらいともいえない悪態だった。


「…そういうセリフは服着てから言ってよ」


サタンはさっきからずっと半裸だったことにようやく気づいたようだった。




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