秘密の花園

酔いどれマーチ



ちょっと待ってろというあいつの言葉に従って、待つこと5分。
 

半裸の変態男から普通の魔王になったやつは私を伴って、近所の居酒屋の暖簾をくぐった。


「ほら、好きなもの食べろよ」


差し出されたメニューで目から下の部分を隠しながら、向かいに座ったサタンの様子を窺う。


「財布が空になるまで食べていい?」


「それはやめろ」


ちっ!!


「魔王のくせに懐が小さいのなぁ…」


聞こえないように呟いたはずなのに、サタンにメニューではたかれる。


地獄耳か!!


はたかれた頭をさすりながら、やっぱりついて来なければよかったと今更になって後悔する。


結局、サタンが適当に食べ物と飲み物を注文してしまった。


詫びの印に奢ってくれるんじゃないのかよ。


飲み物ぐらい好きに選ばせろよ。


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