秘密の花園
「汚ねーな!!」
「ごめん、ごめん」
吹き出した枝豆は見事、サタンの顔に命中した。
あーびっくりした。まさか、この男に褒められる日がやって来るとは……。
サタンはおしぼりで顔を拭きながらさらに続けた。
「それにお前は純に惚れてたし、俺に興味がないほうがやりやすいって思ったんだよ」
「ふーん…」
「後になってお前が本気で純に好かれたがってたんだって気がついた。悪かったよ」
サタンに”悪かった”なんて言われると、こちらだってしおらしくなってしまうではないか。
「別に…。どっちにしろ望みがなかったわけだしさ……」
塞がったと思っていた傷がじくじくと痛む。
私はビールを一気に飲み干すと、ぷはーっとオヤジのように息を吐き出した。
「ヤケ酒、付き合ってよ!!」
空になったグラスを片手に口を拭って言うと、サタンはやっぱりしかめっ面で追加のビールを注文した。