秘密の花園

「うう……。はあーい……」


私は悲しみのあまり、血の涙を流した。


花園の復興がまた遠ざかっていく。


サタンは慣れた手つきでヘアアイロンに私の髪を次々と巻き付けていった。


「ったく。アイロンを知らないなんて、今までどういう格好で学校に通っていたんだよ?」


「大学はオシャレを披露する場所じゃなくて、勉強する場所なんですー」


魔王の手にかけられると、かつての勢いを失っていた髪がクルンと元気に跳ねた。


「ほお?じゃあ、お前は何を勉強してるんだよ」


「情報システム学」


「理系か?」


「そう、コンピュータとお友達。いや、できることなら親友になりたい」


噛みしめるように言うと、ぐっと拳を握る。


私の将来の夢はソウイチさんやイサム様を現実世界に召喚させることである。


3次元、万歳!!


「勉強も良いけど、少しはこっちにも気を遣えよ」


……普通は逆だろう。


なんで真っ当な大学生活を送っているにも関わらず、怒られなきゃいけないんだ。


「ほら、出来たぞ」


サタンはヘアアイロンを傍らの作業台に置いて、背後が見えるようにデカい鏡を掲げた。


何の面白みもなかった髪の毛は内側に緩くカールされてふわふわと揺れている。


「……なんか変な感じ」


「殴られたいのか?」


サタンが本気モードで睨むから、殴られる前にさっと頭を手でガードする。


これ以上殴られたら脳細胞が死ぬ!!死に絶えてしまう!!


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