秘密の花園


なんだ、このアホみたいなブログは!!


最後に添付されていた泣き真似をしている嵐子の写真は、画像編集ソフトの使い過ぎでのっぺらぼうのようになっていた。


「で、これがなんなの?」


「ここ、見て」


唯香は写真に映っていた背景を指差した。


「あ、ピエール様」


そこには赤い帽子を被ったピエール様が映っていた。ついでに店の看板も。


「コメント欄、見てよ」


唯香はコメント欄一覧をマウスでクリックした。


“嵐子ちゃんを追い出すなんてひどい美容院!!”

“ホントに最悪だね!!ぷんぷん<(`^´)>私たちが文句言ってあげる!!”

“その男、ムカつく!!”


「プチ炎上してる……」


「店の名前もばっちり映っているし、これまずいよね……」


顔から血の気が引いていく。


……私のせいだ。


どうしよう!!


私は財布と携帯を引っ掴むと慌てて玄関へと走り出した。


「お姉ちゃん!!どこ行くの!?」


「サタンのところ!!」


動きやすいスニーカーを迷いなく選択して靴ひもを締めると、私は部屋着のまま家を飛び出した。

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