秘密の花園

「また、ヤケ酒でも付き合ってやろうか?」


「いい」


スタスタと歩き出す私の後ろを、佐田さんが同じ足取りで付いてくる。


「遠慮するなよ」


「だから、要らないってば」


だって、水瀬さんは結婚していて。


相手はあずなさんで。


私など最初から敵うわけがなかった。


だから、慰められる必要なんてない。


必要ないのに……。


「バーカ。無理すんなよ」


「無理なんて……っ……してない……!!」


ふるふると捨てられた仔犬のように身体が震える。


たらればなんて言葉を使いたくはないけれど。


先に出逢っていれば私にだってチャンスがあったのかなとか。


でも、やっぱり無理だったのかなとか。


性懲りもなく考えちゃったりするんですよ、この頭は。


……ああ、本当にバカだ。それも救いようのないバカ。


「なんか、俺。お前が泣いているところにばかり出くわすな」


そんなの、こっちだって言いたい。


何で、あんたは。


私が泣いている時にいつも隣にいるのよ。


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