【短編】素直じゃない



はぁーとため息をついて外を見ると、智樹が歩いていた。


あれ?何で?


もしかして早退?


なんて考えていたら、屋上のドアが開いて名前を呼ばれた。


「直!あんた何してんの?」


「え?」


「…泣いてたの?もしかして、智樹から話聞いたの?」


話?


告白のこと?


「…悲しいよね。智樹が居なくなるなんて」


居なくなる?


「何それ!聞いてないあたし!」


「え?それで泣いてるんじゃないの?」


「違う!」


「え?じゃあ智樹が学校をやめるって…ちょ、直!?」


あたしは彩音の話の途中で、屋上をでた。


智樹が学校辞める?


そんなの聞いてない!


階段を急いで降りて、校庭に出る。


智樹はもう少しで校門を出るという所だった。


あたしは息を吸って、叫んだ。


「智樹ーーー!!!」
< 10 / 16 >

この作品をシェア

pagetop