妖魔04~聖域~

始まりの地へ

ベッドの上で目を覚ます。

いつの間にか朝が来ていたらしい。

昨日も夜遅くまで、色々と試していたので妙な疲れが残っている。

「まだ眠いな」

隣には裸のままのお吟さんが眠っている。

お吟さんは俺より早く起きた事は一度たりともない。

年寄りになれば早寝早起きになるというが、迷信にすぎないのだろうか。

失礼な事を言ったと心中で詫びながら、ベッドから降りて服を着る。

「あれ?」

旅によって古くなった物ではなく、新しい服だった。

少しだけデザインが変わっている。

コートも少し重くなっているが、細工をしているのか。

旅をしていく内にコートがないと安心できなくなっている。

「あの時からか」

親父のコートを身に着けてからというもの、自分にもコートが好きになったといえよう。

「親父のっていうのが癪だがな」

髪は変身を解いたら元に戻っていて、少し安心した。

ハゲのままは少し気が引けたからな。

変身すると多少は自己修復するのか?

「ありがたい話だ」

「うーん、ザー」

お吟さんが危険な寝言を言いそうになったので、手で口を塞いだ。

「朝から、軟体動物臭い寝言は勘弁してくれ」

「モゴモゴ」

手の内を舐められたことに驚き、咄嗟に離してしまう。

「人の寝込みを襲うなんて、お前の性欲は無限大アルな」

「お吟さんには敵わないさ」

お吟さんにも新しい服が用意されてあり、着込んだ。

自前のハブラシで歯を磨いた後に、職員に食堂へと案内される。

食堂には色々な契約妖魔やチューナーが集まっているようだ。

少し、高校を思い出した。
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