妖魔04~聖域~
食堂に入った瞬間、一斉に向いた冷たい視線が肌に刺さった。

恐怖を感じているのかもしれない。

最初に他の者達が拒んでいた封を開けたのは俺だ。

その後に、妖魔を痛めつけたのも俺だ。

研究所で暮らす者達の反応は当然だろう。

露骨に表れると食べにくい。

しかし、俺を無視するかのように食べ続けている少女がいる。

「元気そうだな」

昨日、俺を殺し損ねた少女だ。

「うるへえ、寄ってくるな」

暴食しているとしか思えない食いっぷりだ。

「敵は目の前にいるぜ?能力使わないのか?」

「今更やっても意味ないんだよ!」

「失敗したからイヴァンの元に戻れないってか?」

イヴァンの元に戻ったら融合されて、帰らぬ者となるだろう。

「付いていったら認めて貰えるかと思ったけど、そんな事ない」

誰かに認めてもらいたかったのか。

「あんな真似しちゃ、認めるどころか勘当されてもおかしくないぞ」

「うるせえ!妖魔殺し!殺戮の限りを尽くしやがって!」

「そうだな。いつか、償わなければならない日が来るかもしれないな」

「ふん」

少女は暴食を続けるが、腹を壊さないのだろうか。

でも、少女の元気な食いっぷりを見てると、食欲がわいてくる。

「姉ちゃん、ええケツしてまんなアル」

傍ではロベリアを隣において、ケツを触りながらご飯を食べている親父臭い女性がいる。
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