妖魔04~聖域~
俺は席を立つと、出口へと歩いていく。

「犬神君」

「何だ?」

「君は何を求めているの?」

「地球の安定だ」

「本当に?」

「当たり前だ。でなければ、何のために組織にいるのかわからんだろう」

「犬神君は誇り高い純粋な妖魔ね」

「秋野、本心じゃないことをベラベラ喋るのは鼻につくぞ」

「褒めてるのよ」

秋野の『本当』の部分はどこにあるのか、少しだけ興味はある。

だが、普通の者では触れられない。

「ならば、お前に問う。お前は何を求める?」

「究極の平和かな」

究極、何をもってそう言うのかは聞かない。

話さないだろうからな。

「怪我の件、感謝する」

無駄なやり取りを省くために、保健室から出る。

男の言っていたテンプルナイツの情報は他者から聞き出す。

秋野に聞くと、腹立たしくなる。

廊下は制服を着た人間共が歩き回っており、今が休憩中だということがわかった。

人間達はのん気に暮らしている。

今の状況がどれだけの至福の時か解っていない。

「人間の事などどうでもいい」

何かを始めるにしても、何から手を付ければいいのか。
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