妖魔04~聖域~
ジジイと吟の絆を繋ぐ役割だけでいいのか?

守るだけでいいのか?

それは違う。

「正直に言えば、俺はお前の全てが欲しい」

優先すべきは守る事。

しかし、吟がジジイの元に帰ってしまえば、守る事が出来なくなる。

だから、吟をジジイから奪うしかない。

本当はあってはならない。

「お前が手に入るのなら、自分の出来る事は惜しまない」

「お前は私を悲しませてもいいというのかい?」

「どの道、二度は悲しませることがある。だけど、その二度だけだ」

「聞いたか?靜丞」

「小僧が、ワシの女をたぶらかすとはな」

柱の影から出てきたのは、黒いロンティーにジーパンのジジイだ。

「ジジイ」

修羅場確定か。

「私が呼んだ」

「こうなると解ってて先に呼んだのか」

「丞、お前は私が欲しいのだろう?」

お吟さんを悲しませる一つ目。

どっちが負けても、お吟さんの心に痛みが走る事になる。

遅かれ早かれ、ジジイの前に立たなければならない。

ジジイには俺の記憶がない。

孫という観念が最初からあったのかどうかも解らないから、一緒だけどな。

ジジイは容赦しないだろう。

だが、俺は身内であるジジイを傷つける事が出来るか?
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