妖魔04~聖域~
正直、親子の絆がどうであろうと、俺には関係がなかった。

しかし、あの男の情報は欲しいところだ。

「男の子を簡単に家に上げてしまうなんて、お父さん、泣きたいなあ」

「私、あなたの事なんて知りません。だから、帰ってください!」

娘の言葉にも動じないように見えた。

しかし、タバコを持つ手が震えている。

「おい、兄ちゃん、帰ってくれだとさ」

「それは、お前に当てた言葉だ」

タバコの煙を上空に吐きつけ、空を見る。

「でも、こうして目の前で千鶴と会話出来るのも、お父さんとしては嬉しいな」

千鶴の父親は立ち直りが早い。

「お父さん、今日はじっくり千鶴と話したい気分なんだ。どうだ、食事でもいかないか?」

怒りのせいか、千鶴の体は震えていた。

「母は嬉しそうにあなたの話をしてました。でも、泣いていた時もありました。あなたなら、理由は解りますよね?」

知らないと言いながらも、父親の事を語る千鶴。

「郁乃は良い女だった」

「それだけ、ですか?」

「郁乃には、感謝をしても謝罪はしない。謝罪をするならお前だけだ」

「ろくでもない、人」

これが親子の会話か。
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