妖魔04~聖域~
二人の会話で解る事はいくつかある。

葉桜郁乃は目の前の男と結婚して、葉桜千鶴を産んだ。

男は葉桜郁乃と葉桜千鶴を置いて、家を出た。

千鶴の話は過去形であり、葉桜郁乃は死んでいる。

その間、男は家に帰ってこなかった。

千鶴は自分と母親を置いていった事に憤りを感じている。

溝が出来る事は理解できるが、埋めるのは難しい。

今の興奮状態の千鶴では埒が開かず、非常に面倒くさい。

父親の態度はアレだが、言ってる事は妻への愛する気持ちだ。

ただ、退魔師である父親が何故、家を空ける事になったのか。

千鶴には理解しようとするところまで到達出来ない。

「お前は、郁乃が好きなんだな」

「当たり前です!母は、あなたのような人ではありません!」

ダラダラやっていたとしても解決になりゃしない。

それに、俺の使命は家族を仲良くさせる事じゃない。

「面倒くせえ」

「え?」

「お前ら家族のイザコザでどうなろうと知った事じゃないが、頭でヤカンを沸かすようなお前じゃ話にならねえ」

「刃さん」

「親と話をするのなら、物を考えられる状況になってからにしろ」

唐突に出てきたから、親の行動が理解出来ない、納得も出来ない。

溝が埋まろうが埋まるまいが、後で話し合えばいい。

俺は千鶴の家を捜索できれば、それでいい。
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