【短編】プロポーズはバスタブで。
 
なによ、沙織のアホ!

気にしないように努めても気になるから悩んでるんじゃん!

水を取り替えた花瓶を持って給湯室を出ていく沙織の背中に、思いっきりイーッ!!ってしてやった。


女は結婚、出産、育児・・・・と経験を積んでいくごとにどんどん強くなる、と何かの雑誌の記事で読んだことがあるけど。

薄情になるなんて聞いてない!!

あの記事、絶対ウソだ!!


「・・・・あっつ!! もー、コーヒーまであたしをバカにすんの!?」


またまた沙織に図星をつかれて、またまた言い返せなくて。

その悔しさを紛らわすために、豪快にすすったコーヒー。

それは、罪もないのに八つ当たりしてしまうほど熱かった。



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その日の夜。

孝明から妙な電話があった。


『週末のお泊まりデートだけど、政伸さんたちと旅行に行ったときのホテルに泊まらないか?』


と。

あそこは確か山あいにあるホテルで、場所が場所だけに一泊二日なんかで泊まりに行けるようなところじゃないはず。
 

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