【短編】プロポーズはバスタブで。
ギクッ。鋭いヤツめ・・・・。
でも、実はそうなんだよね。
沙織に会ったら一番にそう言われるんじゃないかって、だから輪をかけて憂うつな気分だった。
気になって気になって、でも聞く勇気はなくて・・・・そうして悩んだ土日はあっという間に過ぎ。
で、月曜日。
案の定、沙織はあたしの一番痛いところを容赦なく突いてきた。
悔しいけど図星なだけに言い返せなくて、あたしはムスッと膨れてカップにコーヒーを注ぐ。
「ぅああっつ・・・・!!」
「あらら、見事に動揺してんね。いい歳の女が何してんだか」
けれど指にも注いでしまって、沙織は慌てて指を冷やすあたしをそう言ってケラケラ笑う。
・・・・政伸さん、娘の美雨ちゃん、あなた方の家族は親友の危機を笑う薄情者ですよ、いいんですか。
「沙織のせいじゃん!」
「私のせいにされちゃ困るな〜。私はただ“可能性”を言っただけよ? それを気にするのもしないのもヒカリ、あんた次第じゃん」
「それはそうだけど!」
「でしょ? じゃあね」
「むぅ・・・・」