PRINCESS story
「奏…斗…?」
突然、琴葉が目を覚ました。
「琴葉…具合は…どう?」
「大丈夫。心配かけて、迷惑かけて、ごめんね」
弱々しい声で琴葉が言う。
「謝らなくていい。俺こそ、ごめんな。
琴葉のアレルギーのことを知らなかったばっかりに……」
琴葉は首を横に振った。
「…どうしてあんなに無理したんだよ?」
俺が尋ねると、少し悲しそうに琴葉が答えた。
「だって……私の為にせっかくエレナ夫人が連れてきてくれたから。
断るなんて出来なかった。
奏斗の妻としての初めての公務を、完璧にこなしたい気持ちもあった」
「……そっか…」