PRINCESS story

「奏斗」

私が声を掛けても返事はない。


出来るだけ明るく振る舞おうと私なりに努力しているけれど、こんな奏斗の姿を見ているのは、胸が苦しかった。



それに、今の奏斗には、きっと私なんか少しも見えていないんだよね…



「奏斗」


今度はさっきよりも大きな声で、名前を呼んだ。


「あ…何?」


心ここにあらず、という感じで奏斗がそっけなく答える。



< 170 / 399 >

この作品をシェア

pagetop