PRINCESS story

兄さんの背中がだんだんと遠くなって行くのを、俺はただ呆然と立ち尽くしたまま見送った。



『必ず幸せにしてみせる』

そう言い切った和也兄さんの声が、何度も頭の中でこだまする。


まだ結果は分からないのに、敗北感を感じるような気さえする。


兄さんは、本気だ。

あの目を見れば分かる。



本気で、琴葉を………

俺から奪おうとしている。



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