PRINCESS story

取り乱している自分に気付き、落ち着こうと深呼吸をする。



「分かりました…あと一時間…
もしそれでも戻ってこなければ、誰が何と言おうと、僕は警察に連絡します」



騒ぎにしないためにも、父や母にもまだ知らせず、一部の警備員にのみ宮殿付近を探させた。


俺はひたすら宮殿で琴葉の帰りを待った。


部屋には、俺と中野さん、河西さんの3人だけ。

重苦しい空気が流れる。



「どうして…琴葉は1人で?
俺には何も言ってなかった……」


もしかすると、琴葉は王室で暮らすことが辛すぎて、自分の意志で宮殿に戻って来ないのではないか、と不安になる。




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