PRINCESS story
「姫は…」
今まで黙っていた河西さんが口を開く。
「姫は、王子のお仕事がお忙しいため、余計な心配をかけたくない、とおっしゃっていました。
それに、今日だけは、どうしてもお母様には王子妃としてではなく1人の娘として会いたい、と……だからどうしても1人で行かせて欲しい、と…
私が、承知してしまいました。
護衛をつければ、逆に目立って騒がれてしまうのではないか、と…
本当に………
本当に申し訳ありません…」
頭を深々と下げる河西さんに言う。
「琴葉は、帰って来ます…絶対に。
河西さん、責任を感じないで下さい。
あなたのせいじゃない」
琴葉、戻ってきてくれるよな?
どうか無事で帰ってきてくれ…