ここにいるかぎり

:: いじめたくなる(高1)

 

 先に言おう

 俺は ひねくれている。




 「……ともよ、くん?」


 訳が分からないと言った具合に
 立ち尽くす那衣に
 にっこりと笑いかける。

 尚も微動だにせず
 ぽかんと俺を見たままだ。


 「…どしたの、
 もーっとレベル高い
 ちゅーの方がいいわけ?」


 あごに指を運ぶと、
 那衣は目を大きく見開いて
 ささっと後退りした。


 「いいいりませんっ」

 「急に俊敏だね」

 「ていうか、あの
 …那衣 一応あれ、あの、」

 「彼氏の“有基くん”?」

 「うん そう!
 那衣は有基がいまして、」

 「? うん」

 「〜っ、うんじゃなくて」


 一般論の通じない俺に
 あからさまに困った顔をする。


 なんだろう、

 この人見てると
 超いじめたくなる。


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